豪ドル/円相場は、79円台後半まで軟化する展開になっている。不安定なリスク投資環境が続く中、再び豪ドルの上値が圧迫されている。6月上旬は、過熱したリスク回避の動きの反動から、豪金利の上昇が豪ドル相場をサポートしたが、再び欧州債務問題を巡る混乱状況が嫌気される中、豪ドルの上値も重くなっている。
6月28~29日には欧州連合(EU)首脳会合の開催を控えているが、特に目立った進展は見られないとの警戒感が強くなっている。債務危機がギリシャからスペインへも本格波及し始める中、マーケットでは抜本対策を求める声が強くなっている。しかし、独メルケル首相はユーロ共同債構想に強硬に反対しており、危機対応を巡る議論は進展しないとの失望感が広がっている。独連銀総裁も、国家財政の権限委譲の合意が行われる前の債務共有化はあり得ないとしており、財政統合を巡る議論が必要とされている。既にマーケットのEU首脳会合に対する期待感は剥落しているが、EU首脳会合後にリスクオンの地合回帰から豪ドルが急伸するシナリオを描くのは難しい。逆に、若干の失望から改めて豪ドルの上値が圧迫される可能性が高い。
6月26日には、オーストラリア準備銀行(豪中央銀行)のデベル総裁補佐が講演を行った。海外での不透明感が消費者マインドを圧迫している、人員削減の発表が(新規)雇用の話よりも大きく伝えられているなど、景気に対して悲観的な発言が目立つ。19日に公開された理事会議事録でも、住宅市場の弱さなどが指摘されており、今後も経済指標の下振れがあれば、豪追加金融緩和観測が豪ドルの上値を圧迫しよう。既に5月下旬の豪ドルポジションのショートカバーは一巡しており、徐々に豪ドルの上値が重くなる展開を想定している。
今後1週間の予想レンジは、79.25~80.75円。